近年、アートがどんどん身近になり、贈答はもちろんのこと、店舗・オフィスの空間(雰囲気)作りとして絵画作品や立体作品の展示が有効と考えられており、絵画作品の需要が強まっています。
それに伴い、個人事業主の方々や店舗・オフィスを運営される法人事業者の方々から、絵画作品を購入した場合、会計上どのように処理するのかという質問を受ける機会がとても多いです。
そう、実は絵画作品は減価償却の対象で、事業経費として計上することができるのです。
この記事では、法人事業者の皆様が絵画作品(等の美術品)を購入された場合の会計処理について、店舗を例に解説していきます。
- 2024年の税法に則ったものとなります。
法人で絵画を購入した時の会計処理
100万円未満の作品は損金算入することができます。
(1)10万円未満の作品
消耗品として全額を一括で損金算入することができます。
(2)10万円以上、20万円未満の作品
店舗用のディスプレイとして資産計上し、3年に分けて減価償却し、全額を損金算入できます。
- 厳密には全額ではなく、最終的に簿価を1円残して計上します。
(3)特例30万未満の作品
少額減価償却資産の特例として、全額を一括で損金算入することができます。
但し、この特例は1年間に累積300万円までの枠が設けられています。
まずこの(3)を検討し、その枠が満額になっている場合は、上記の(2)または下記(4)の通りとなります。
(4)30万円以上、100万円未満の作品
店舗用のディスプレイとして資産計上し、8年に分けて減価償却し、全額を損金算入できます。
- 厳密には全額ではなく、最終的には簿価を1円残して計上します。
(5)贈答品(プレゼント)として作品をご購入した場合
接待交際費の名目で全額損金算入することができます。
- 但し、贈り先のお客様との関係性によって損金算入できる金額は変わります。
用語解説 損金算入
損金算入とは、企業が事業を行う上で発生した費用などを、税金計算の際に所得から差し引くことができることを指します。つまり、損金算入することで、課税所得が減り、結果として支払う税金が少なくなるということです。
まとめ
法人の場合は、10万円未満の作品は全額を損金算入。10万円以上の価格帯の絵画も、ディスプレイとして資産計上した場合など、条件は変わりますが基本的に全額で損金算入が可能です。
絵画は単なる装飾品ではなく、企業経営に役立つ有効な手段の一つです。節税効果だけでなく、企業イメージの向上や従業員のモチベーション向上にもつながる可能性があります。
ただし、絵画を活用した節税は、専門的な知識が必要となります。実際の会計処理の方法については、顧問会計士・顧問税理士の方等にもご相談ください。
記事監修
谷口 祐一
株式会社EMY 代表取締役社長